地域間の様々な政策の影響を財・サービスのみならず廃棄物や環境負荷も含めて評価する手法として地域間廃棄物産業連関分析がある。平成22年度の最も大きな成果は2000年版東京都地域間産業連関表のβ版(IRWIO Tokyo 2000)の作成である。この作表により、東京都とその他地域の財・サービス、廃棄物の粗排出・粗投入、廃棄物の処理、広域移動、環境負荷(二酸化炭素排出量、最終処分処理量)を推計することができた。この推計は本研究課題における様々な研究成果を集大成したものである。今年度は、大都市住民の消費活動がそれ以外の地域にどのような影響を及ぼすか、経済的側面、廃棄物排出、廃棄物処理、環境負荷といった観点から分析を試みた。事例の対象として東京都を選択し、推計したIRWIO Tokyo 2000を用いて分析した。その結果、東京都民の消費によってその他地域にもたらされる影響は、各側面において全体の約2%程に留まることがわかった。しかし、その絶対量は無視し得るほど小さなものではなく、誘発されるCO_2排出量は東京都と同等であり、消費される最終処分場容量は東京都におけるものの約2.5倍に上る。それにも関わらず、生産誘発額は東京都の約1/2、付加価値誘発額は東京都の3割に留まる。結論として、東京都民の消費は、その他地域に経済的なメリットより大きな環境負荷をもたらしていると考えられる。IRWIO Tokyo 2000以外の成果としては、研究分担者である京都大学・大学院農学研究科の加賀爪優教授の研究グループと共に、2000年版京都府廃棄物産業連関表の推計に関わり、実証分析として住宅用太陽光発電機の普及に伴う環境負荷評価を行った研究が挙げられる。これらの研究により、地域廃棄物産業連関表の推計方法を確立することができた。
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