(1)8-oxoG DNAグリコシラーゼ(Ogg1)の胚発生での役割を明らかにするためにモデル動物としてホヤを用いた。ホヤの発生のメカニズムは進化的に脊椎動物と共通であると考えられている。本研究では、ヒトのhOgg1のホヤでのホモログ、CiOgg1、の8-oxoG DNAグリコシラーゼ活性を明らかにした。また、trapping法により、8-oxoGを含むDNAオリゴヌクレオチドへのCiOgg1のAPリアーゼ活性も検出した。つぎに各組織でのCiOgg1の発現レベルを調べたところ、精巣で最も高く発現することが分かった。さらに、ホヤ受精卵ヘモルフォリノを注入することでOgg1遺伝子をノックダウンした結果、正常な胚発生ができなくなることを見いだした。(2)DNAグリコシラーゼのうち、Nthホモログは大腸菌、分裂酵母、出芽酵母、シロイヌナズナ、マウスからヒトにいたる生物で広く保存されている。その分裂酵母におけるホモログSpNth1も酸化ピリミジンであるTgや5-ヒドロキシシトシンを除去する。本研究では、分裂酵母のSpNth1による8-oxoGおよびおもな酸化ピリミジン損傷に対する塩基除去修復を解析した。SpNth1はTgに加えて5-ヒドロキシメチルウラシル(5-hmU)、5-foUに対してもDNAグリコシラーゼの活性を示した。さらに、SpNth1は8-oxoGに対して特異的なDNAグリコシラーゼ活性を示した。SpNth1の8-oxoG:Gに対するDNAグリコシラーゼ活性は比較的強く、大腸菌Nthには無い8-oxoG:Cに対する活性も低レベルながら検出できた。大腸菌のnthnei欠損株でSpNth1を発現させると、この二重変異株での高頻度の自然突然変異および活性酸素高感受性を回復した。
|