研究課題/領域番号 |
19510060
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研究機関 | 金沢医科大学 |
研究代表者 |
橋本 光正 金沢医科大学, 医学部, 助教 (70293975)
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研究分担者 |
岩淵 邦芳 金沢医科大学, 医学部, 教授 (10232696)
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キーワード | PKU-β / TLK1 / RNAi法 / 倍数性の異常 / 中心体 / 姉妹染色分体 / Myosin II regulatory light chain / MRLC / Aurora B |
研究概要 |
私は、TLK1の発現をRNAi法で抑制すると、(1)増殖速度の低下、(2)倍数性の異常が誘導されること、さらに免疫染色実験から、(3)中心体の両極への移動が抑制されること、(4)姉妹染色体の不均等な分裂が誘導されることを発見した。これらの現象は、M期進行の抑制とその進行過程の異常によると考えられる観察結果を得た。TLK1の発現抑制とこれらの現象の関わりを検討するために、ウエスタンブロット法で解析すると、TLK1枯渇細胞では、中心体分離と両極移動を担うMyosin II Regulatory Light Chain (MRLC)のリン酸化(Ser19/Thr18)が抑制されていることを見出した。MRLCの機能不全と細胞分裂の異常の関係を調べるために、野生型のMRLC (WT-MRLC)、Ser19/Thr18のリン酸化部位をAlaに改変した非リン酸型のMRLC (AA-MRLC)、Aspに改変したリン酸基擬態型のMRLC (DD-MRLC)をタンパク発現プラスミドを構築し、TLK1枯渇細胞に導入した。その結果、DD-MRLCを導入したTLK1枯渇細胞のみ、倍数性の異常、中心体の両極への移動の掬制、姉妹染色体の不均等分裂が劇的に減少した。またTLK1とMRLCの相互結合の有無を調べたが、直接結合するという結果は得られなかった。しかしTLK1枯渇細胞では、Aurora Bのリン酸化が抑制されていることを見出した。以上の結果から、TLK1はAurora Bを通してMRLCを制御することによって、細胞分裂時の染色体分配の正確さを保障する機構に重要な役割を果していると考えられる。
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