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2007 年度 実績報告書

内分泌撹乱物質に応答する魚類シトクロム450転写調節因子群のクロストーク評価

研究課題

研究課題/領域番号 19510069
研究機関鹿児島大学

研究代表者

上西 由翁  鹿児島大学, 水産学部, 准教授 (60347086)

キーワード内分泌撹乱物質 / シトクロムP450 / AhR遺伝子 / 転写調節因子
研究概要

環境中に放出された化学物質の多くは遅かれ早かれ水圏環境に到達し、水圏生態系の様々な生物種に蓄積する。なかでも、ダイオキシン類のような化学物質は脂溶性が高く難分解性で、生物濃縮を通して魚類の体内に高濃度で蓄積する。これら脂溶性化学物質を解毒する酵素としてシトクロムP450群がある。これら酵素に関わる遺伝子の誘導発現には、bHLH-PASファミリーのAhRが重要な働きを担っているが、魚類では2種類(あるいは3種類)のAhR1,AhR2,(AhR3)をもつことが近年報告され、AhRを1種類しか持たない哺乳類とは異なった転写発現機構をもつことが予想される。
そこで本年度は、ウナギAhRにも複数の分子種が存在するか調べたところ、4つのクローンが単離された。それらクローンの部分塩基配列を求めてほ乳類を含めた他の生物種のAhRと比較したところ、ウナギでは少なくとも3分子種(あるいは4分子種)のAhR遺伝子が発現していると思われた。今までにデータベース上で報告されているAhR遺伝子とあわせて分子進化系統樹を作成して検討したところ、AhRの共通遺伝子は最初にほ乳類・鳥類と魚類のそれぞれの生物種へ分岐し、さらに魚類のAhR遺伝子は魚類の中だけで多様な遺伝子の分岐が起ったことが示唆された。また、今回の単離したウナギAhR遺伝子には、系統樹のクラスター形成からみて、AhR1,AhR2,AhR3(α、β)の少なくとも3種類の分子種が存在すると思われた。
ほ乳類とは異なり魚類のなかだけで独自の進化を遂げたAhRが、ダイオキシンのような生体外異物に対してどのようにクロストークしながら働いているのか、今後は得られたAhRのリガンド結合部位の比較ならびに遺伝子発現量から、それぞれの分子種の役割を明らかにしたい。

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公開日: 2010-02-04   更新日: 2016-04-21  

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