研究課題
本研究は、社会的ストレスにより生体機能が変化した場合に、化学的ストレスにさらに生体が暴露された場合の複合影響を、発癌のイニシエーションにフォーカスし、マウス(BALB/c)のストレスモデルを用いて検討することを目的としている。化学的ストレスとしてベンゾ(a)ピレンを使用し、マウスにBaPを投与して肝臓および肺に形成される付加体(BPDE-dG)のLC/MS/MS測定を行った。その結果、BaPの投与量が10mg/kgでも十分に検出できることがわかり、投与後72時間後から付加体が減少していくことがわかった。一方、社会的ストレスとして、30日間の単独隔離飼育を行い、肝臓についてDNAアレイによる遺伝子発現解析を行ったところ、420遺伝子(発現増加が202遺伝子、発現抑制が218遺伝子)の発現に変化が見られたが、主にperoxisome proliferator activated receptor alpha(PPARα)などが関与する脂質代謝系の遺伝子発現の抑制、脂質合成系及び分泌経路の遺伝子発現の亢進が見られ、長期的かっ持続的な社会的ストレスが、生体をエネルギー貯蔵の方向に応答させていることが示唆された。また、cyclin D1,G2,Gadd45b,Ahrなど化学物質のリスクに関わる遺伝子がストレス負荷により変動していたので、リアルタイムPCRにより検証した。現在、さらにBaP投与時のこれらの遺伝子の発現変動について調べ、BPDE-dG生成との関連を検討中である。
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Physiol. Genomics 37
ページ: 79-87