研究課題
本研究の目的は、日本の化学物質過敏症(MCS)およびシックハウス症候群(SHS)患者の病態(特性、発症要因、自覚症状の特徴、アレルギー疾患との関係、他覚的臨床検査)を明らかにし、それを諸外国患者と比較すること、また、日本のMCS患者やSHS患者の診断やスクリーニングに有効な問診表を確立することである。そこで、まず、北里研究所病院臨床環境医学センターでMCSと診断された患者103名のカルテをもとにその病態を明らかにした。欧米と同様に患者の7割は女性であった。また、84%の人が何らかのアレルギーを有していた。男性は若年者が多く、発症要因として職場関連の化学物質曝露が大部分を占めたのに対し、女性は幅広い年齢分布を示し推定発症要因も多彩であった。米国の患者と比べると重傷者が少ない傾向があった。次に、米国で開発されたQEESI問診票を用いて病態が明らかになった上記患者103名と年齢性別がマッチングした健常者309名の得点をROC分析を用いて比較した。その結果、カットオフ値は、症状:25点、化学物質不耐性:40点、日常生活障害:10点と設定された。これら2つ以上がカットオフ値をオーバーしている人はMCSの疑いがあるので、専門医の診察を受けることを勧めるのがよいと思われる。以上のように、当初の目的通り、日本のMCS患者の病態を解明することができた。さらに、日本の患者の診断やスクリーニングにもQEESI問診票が有効なことも明らかにすることができた。
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