Gaシリケート触媒を使用して廃プラスチックの主成分であるポリオレフィンを芳香族炭化水素(主成分はBTX)へ分解する石油化学原料化リサイクル技術の開発において、ポリ塩化ビニル(PVC)対策は重要な課題である。本研究では、前年度に開発したAl添加Ga触媒の耐塩素性を詳しく検討した。1%PVCを含むポリエチレン(PE)モデル混合物の分解において、Ga触媒での芳香族収率は42%であったが、Al添加Gaでは芳香族収率が57%と高くこの触媒は耐塩素性に優れていることが明らかになった。さらに、触媒の耐塩素性は低温(450℃)よりも高温(525℃)においてより顕著に発現した。また、生成物中の塩素濃度が低下し、Al添加Ga触媒は有機塩素化合物を分解する能力を有することがわかった。塩化水素処理した触媒の酸性質をアンモニア昇温脱離法やFTIR等で検討したところ、塩化水素はGa触媒のブレンステッド酸性を低下させるが、Alを添加するとそれを抑制できることが示唆された。このように、本研究によって触媒の耐塩素性は大きく向上し、微量のPVCを許容するプロセスの構築が可能になり、リサイクル技術の高度化を図ることができた。しかし、一般廃プラスチックから比重差選別によって得られたPVC(1%)含有廃ポリオレフィンの分解では、触媒の耐塩素性が低下した。これはPVC以外の異種プラスチックの影響によるものであり、その対策が今後の課題である。
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