研究概要 |
研究代表者および分担者は,銅葺き屋根の下から銅ゴケであるホンモンジゴケ(Scopelophilacataractae)を採取し,その原糸体を液体培地で培養することに成功した。次に,100mLのフラスコ培養にて100mg/Lの銅イオンを排水基準(3mg/L)以下まで吸収除去できることを明らかにした。銅ゴケ原糸体の回分培養を種々の条件で行い,重金属吸収特性と増殖特性を検討した。また,現有バイオリアクター(容量1L)を改良して,最終処分場浸出水処理における銅ゴケの培養に適した新規バイオリアクターを開発した。実際の石川県のある最終処分場の浸出水をサンプリングし,分析した結果,CODが397mg/L,亜鉛濃度が26.5mg/Lであった。BODは15.1mg/Lと低く,銅や鉛は検出されなかった。この浸出水サンプルを用いて処理を行ったところ,亜鉛は4.5mg/Lまで処理できたが,CODに関してはほとんど減少しなかった。COD分解に関して効果のあるオゾン分解を前処理として行ったところ,亜鉛濃度が2.3mg/L,CODが154mg/Lまで処理することができた。この値はほぼ排出基準以下であることからコケを用いた最終処分場浸出水処理はかなり有効であることがわかった。最終処分場土壌処理については,既に重金属蓄積植物の一つであるヘビノネゴザ(蛇の寝御座)を用いて蓄積された銅,鉛,鉄,亜鉛の定量と分布について検討した。また,石川県小松市の尾小屋銅山跡地におけるヘビノネゴザを用いたファイトレメディエーションにういて調査し,土壌中の銅と鉄の除去率がそれぞれ82%と95%であったことを報告した。最終処分場土壌を用いてヨウシュヤマゴボウの栽培実験を行い,草本中および土壌中の重金属の変化量を測定した。
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