研究概要 |
大気圧アルゴンプラズマでNHiラジカル(NH_2,NH,N)を生成させ,それを排ガス中に注入することによりラジカル連鎖反応で高効率に脱硝を行う独創的な反応装置を開発した(特許第3826085号,特許第4096068号)。しかしながら,アルゴンプラズマ内で生成するNHiラジカルの生成メカニズムおよび脱硝反応場におけるNHi,OHラジカルの寿命やその反応メカニズムは不明であり,学術的な解明が急がれる。 平成19年度には,脱硝反応場でのラジカル反応機構の解明を目的として,素反応解析ソフトウエアCHEMKINV.4.1.1を用い,Glarborg, Dagaut, Glassman, Lindstedt, GRI, Miller and Bowmanら6種のH/N/O系脱硝反応メカニズムをラジカルインジェクション脱硝反応場に適用し,プラズマで生成するNHiラジカル濃度の精確な予測が重要であるという課題を明らかにした。 平成20年度は,脱硝反応場でのラジカル種の濃度計測を行い,電離反応などで生成するNHiラジカルの濃度シミュレーションを行い,プラズマで生成するNHiラジカルの生成メカニズムを明らかにした。投入電力(印加電圧とパルス周波数),アンモニアガス濃度,ガス滞留時間(ガス流量)をパラメータとして,分光計測によりNHラジカルの自発光強度の変化を調べ,独自の電離反応機構を組み込むことにより,大気圧非平衡プラズマ内で生成するNHiラジカルのメカニズムを明らかにした。 本成果に基づき,ラジカルインジェクション法はNOxのみならず,N_2OやVOC等の種々の環境汚染物質の除去にも有効であることが示唆された。
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