研究概要 |
テトラクロロエチレン(PCE)分解菌であるDesulfitobacterium hafniense TCE1株、D. hafniense Y51株、Dehalobacter restrictus PER-K23やSulfurospirillum multivoransなどが比較的共通して保有するPCE脱塩素化酵素遺伝子pceAを検出するDNAマイクロアレイの作成を行った。pceAを検出するためのプルーブの設計は、40merと30merの2種類について行った。同じ塩基または、A-T、G-Cが5つ以上連続しないこと、プルーブが自己プライミングしないこと、目的外の微生物野と相同性を持たないこと、プローブ同士の配列が重複していないことなどの条件を設定し、非相同領域におけるミスマッチも考慮した。ターゲットの増幅には1本鎖DNAを増幅できるLATE(linear After The Exponential)-PCR法を用いた。DNAマイクロアレイでの検出限界試験を行った結果、検出限界値は10,000コピーであることが示された。シグナル強度は40merと30merのプローブで大差はなかった。pceA遺伝子を用いたTCE1株とY51株の識別は、プローブに対して100%相同性のあるリファレンスDNAを用いる競合ハイブリダイゼーションによって区別できた。さらに、対象の菌を混同した模擬土壌を用いてpceA遺伝子の検出の作動確認を行った。その結果、検出限界はコピー数に換算して600,000,000コピーとなり、土壌中に含まれるフミン酸などの有機物などが遺伝子増幅を阻害していることやターゲット以外の生物由来のDNAの影響などが考えられ、遺伝子抽出におけるバイアスの解除の必要性が示された。
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