研究概要 |
本研究の初年度の平成19年度は,人畜のふん便性汚染指標である腸球菌に着目し,現在,腸球菌計数に広く使われているKF Streptococcus寒天培地(KF培地)と,AC液体培地を改良したAC寒天培地(AC培地)を用いて腸球菌の検出法および菌種の同定法について比較し,沿岸海水を対象とした適切な腸球菌計数法を検討した。 同一試料において,KF培地で形成されるコロニー数すなわち細菌数は,AC培地を比較して2〜10倍も高くなった。AC培地とKF培地で形成されたコロニーは,いずれも70〜90%と,高い割合で腸球菌として判定された。AC培地よりもKF培地の方が大幅に高く細菌数が検出され,形成されたコロー数に対する腸球菌数の割合はほぼ同等であることから,腸球菌を計数する場合には,KF培地の方が安全サイドから高感度に検出できることがわかった。これらの結果から,腸球菌計数にはKF培地が適していると判断した。 KF培地による計数法と用いて,宮崎市の海浜レクレーションエリアにおいて細菌の実態調査を2008年1月に実施した。その結果,菌数は少ないものの,腸球菌が底質と波打ち際海水のいずれからも検出されたポイントが確認された。特に河口付近において菌数が高くなった。継続したモニタリングが今後も必要である。
|