(1)アゾ染料脱色菌の分離 アゾ染料であるBordeaux Sを脱色する微生物MA-1株を土壌より分離した。MA-1株は好気性、グラム陰性桿菌の運動性のある細菌で脱窒能を有していた。MA-1株は、Bordeaux Sの他methyl orange、 OrangeII、Tartrazine等のアゾ染料を静置条件下で速やかに脱色し、アゾ結合の還元的開裂により脱色が進行している可能性が示唆された。また、これらアゾ染料の脱色は脱窒反応と同時に進行し、廃水中の窒素処理とアゾ染料の脱色が同時に実施可能であると考えられる。 (2)各種芳香族アミン化合物分解菌の分離 アゾ染料のアゾ結合が還元的に開裂して生成する芳香族アミン化合物を分解する微生物を取得するために、スルファニル酸、4-アミノ-1-ナフタレンスルフォン酸、1-アミノ-2-ナフトール等を炭素源として生育する微生物の分離を行ったところ、スルファニル酸を単一炭素源として資化して増殖する2種類の微生物の分離に成功した。本分離微生物は、アゾ結合を還元的に分解するアゾ染料脱色微生物との組み合わせによるアゾ染料完全無毒化処理(平成20年度に実施予定)に使用する予定である。 (3)ラッカーゼ及び白色腐朽菌の粗酵素による芳香族アミン化合物の分解 アゾ染料の微生物脱色による副産物である芳香族アミン化合物の処理を目的に、市販ラッカーゼ及び本研究室で分離した白色腐朽菌UH-1株の粗酵素を用いて、スルファニル酸及び4-アミノ-1-ナフタレンスルフォン酸の分解を行った。UH-1株の粗酵素及び市販ラッカーゼにより、4-アミノ-1-ナフタレンスルホン酸の分解が観察された。しかし、スルファニル酸の分解は観察されなかった。
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