代表者らはこれまで、ガラスビーズを充填した模擬土壌カラムにある種の界面活性蘭水溶液を充填すると、トリクロロエチレンのような有機塩素系溶剤の原液状態でのカラム内での下方浸透挙動が大きく変化することを明らかにしてきた。本課題では、この下方浸透性を支配する因子を抽出することを目的としている。 今年度な初年度であることから、まず洗浄剤注入法で期待されるミセルやマイクロエマルションによる有機塩素系溶剤の飽和溶解度の変化を測定した。溶剤としてはトリクロロエチレンとテトラクロロエチレンを、洗浄剤としては直鎖ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、セチルトリメチルアンモニウム臭化物塩、ポリオキシエチレン(23)ラウリルエーテル、潔リオキシエチレン(20)セチルエーテル、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノステアレートの6種の界面活性剤を用いた。それぞれの界面活性剤水溶液への有機塩素系溶剤の溶解度は臨界ミセル濃度を壕に急激に上昇し、ミセル前溶化により溶解性を上昇させた後にポンプアップなどによる回収の可能性を示した。 一方、様々なサイズのガラスビーズによる一連のカラムを作成し、純水が充填された場合のトリクロロエチレン原液の下方への重力浸透の否について測定した。カラム内が純水で満されている場合、ガラスビー径が3mm以下ではトリクロロエチレン原液は下方に浸透できず、4mmを越えると原液のまま細粒となって移動可能であることが分かった。この結果は、既に報告したある種の洗浄剤が添加されている場合に0.4mm径のガラスビーズはるカラム内を原液のまま下方浸透するという結果とは大きく異なる。界面活性剤がガラスビーズの表面に吸着することでビーズ間空隙を通過する際の摩擦を減少しているものと思われる。
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