フィルタ式PM低減装置の開発に関する基礎研究を行い、次のような結果を得た。 1. フィルタ材の選定とフィルタ部分の試作:フィルタ材には、最高使用温度1260℃(融点1760℃)、平均・繊維径28μmの耐熱材料を用いて、それを100メッシュのステンレス製ネットで挟む構造とした。 2. 試作フィルタによるPM低減効果の確認:この試作フィルタを、希釈トンネル(PM捕集装置)の入口部分に取り付け、試作フィルタの有無によるPMの捕集量を比較したところ、負荷率25%においては約23%、負荷率50%においては約48%、負荷率75%においては約57%のPM低減効果があった。また、試作フィルタを通過した排ガス中のPMを捕集し、PM中の成分をソックスレー抽出法により分析したところ、そのほとんどがSOF(有機溶剤可溶分:凝縮した炭化水素)であった。このことより、試作したフィルタにより、PM中に含まれるほとんどのDry Soot (炭素)が除去できることを明らかにした。 3. フィルタの再生に関する実験:本研究費により購入した、炉内の温度を設定した温度に保持できる電気炉を用いて、捕集フィルタ上のPMを燃焼により消滅させるのに必要な温度と時間を明らかにするための実験を行った。その結果、フィルタ上に捕集したPMの質量が約3mgの場合、負荷率25%、50%、75%のいずれにおいても、温度を800℃に保持した電気炉に約1分間静置することにより、PMはほとんど消滅した。 これらの結果から、本実験に用いたフィル材を用いて燃焼炉付PM低減フィルタ2個を作製し、これを排気管に並列に取り付け、作動側フィルタが目詰まりをおこす前に切り替え、フィルタ上に捕集されたPMを燃焼により消滅させることにより、小型漁船から排出されるPM中に含まれるほとんどのDry Soot を連続して除去できることが明らかになった。
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