本年度は、スパッタリング法により作製したアパタイト(HA)/二酸化チタン(TiO2)複合薄膜をスパッタリング法により作製し、透過性、メチレンブルー分解性、消臭性及び抗菌性の評価を行った。 TiO2の膜厚の増加に伴い、透過率は低下するが、1.5μmまでであれば、可視光波長範囲(400〜800nm)で、平均して80%以上の透過率を示した。また、メチレンブルー分解実験においては、TiO2の膜厚の増加に伴い、メチレンブルーの分解率が増加し、1.5μmでは10時間後80%の分解率に達することが明らかとなった。これらのことから、TiO2の膜厚は1.5μmが最適と判断された。 消臭実験においては、HAをパターン形状にしたHA/TiO2膜を作製した。パターン形状は、櫛形(幅1mm、開口率30%)、丸型(直径1mm、開口率30%)を作製した。その他実験に用いた試料はガラス、TiO2薄膜、HA薄膜、HA/TiO2薄膜(パターンなし)でホルマリンに対する消臭効果をガスクロマトグラフィにて測定した。結果は、ガラス、TiO2薄膜、HA薄膜、HA/TiO2薄膜(パターンなし)、HA/TiO2薄膜(丸)、HA/TiO2薄膜(櫛)において、6時間後の消臭率はそれぞれ、8%、42%、21%、80%、61%、75%を示し、HA/TiO2薄膜(パターンなし)が最も高い消臭性能を示した。本結果より、パターンを施すことにより、更なる消臭性能の向上が認められなかったことから、パターン形状の検討が必要と考えられる。 抗菌性試験については、ガラス、TiO2薄膜、HA薄膜、HA/TiO2薄膜(パターンなし)たおいて、大腸菌のsurvival rateは、42%、1%、39%、27%となり、HA/TiO2薄膜においては高い殺菌率には至らなかった。この点については、今後検討があると考えられる。
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