研究概要 |
希土類ナノ結晶を含むポリマー薄膜は大きな光磁気特性を示すことから、光情報通信用アイソレーターへの応用展開が期待されている。この希土類ナノ結晶の形態制御および会合状態制御を行うことは次世代の光機能材料開発において重要である。 本研究の基盤となる「希土類ナノキューブ」の作成を行うため、EuSナノ結晶合成の反応温度・反応濃度・反応時間の精密制御を行った。その結果、平均粒子半径5nm,10nm,15nmといったサイズ制御に成功した。さらに、EuSナノ結晶の形態(球状粒子およびキュービック結晶)にも成功し、本研究の基盤となる「EuSナノキューブ」作成のための合成条件確立に成功した。 さらに、高い光磁気特性を示すEuSeナノ結晶の結晶サイズおよび形状制御にも成功し、「EuSeナノキューブ」の合成法確立も行うことができた。 10nmの結晶サイズを有するEuSナノキューブを用いて、有機媒体中における会合状態形成を検討した。有機溶媒としてメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールを用いて光散乱測定(DLS)を行ったところ、アルコールのアルキル鎖長が短くなるほど、大きなEuSナノキューブ会合体を形成することがわかった。さらに、トルエン溶液にEuSナノ結晶を分散し、ゆっくりトルエン溶媒を蒸発させることで、ポリマー薄膜上に2次元配列したEuSナノキューブ会合体を形成できることが明らかとなった。 以上、本研究において希土類ナノキューブ(EuSおよびEuSe)の作成およびポリマー薄膜上での会合体形成に成功した。
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