EuS(硫化ユーロピウム)は伝導帯と価電子帯の間に縮退したf軌道を有するfcc型の磁性半導体である。その物質が示す光吸収過程賦f-d遷移に由来し、この電子遷移が大きな磁気光学効果の発現を誘起する。EuSナノ結晶を任意の場所に固定配列できれば、新たな光磁気デバイス作製への応用展開が可能となる。本研究ではEuSのナノサイズ化及び形状制御を行い、さらに得られた結晶の集積化を行った。 溶媒蒸発法により、ポリマー薄膜上に立方結晶型であるEuSナノ結晶の集積を試みた。透過型電子顕微鏡観察により、Eusナノキューブは三次元的に集積された「超格子構造」を形成することが明らかとなった。さらに、小角x線散乱測定では、高次に集積されたシグナルパターンが観測され、その立体構造が明らかとなった。 さらに、球状のEuSナノ結晶の集積化も試み、面心立方構造を有する超格子構造形成に成功した。本研究から、EuSナノキューブおよびEuSナノスフィアーの集積化・超格子構造を任意に作製することに成功した。
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