自己組織化法によるコロイド結晶の作製法は低エネルギーかつ低コストという利点があるが、数十μm間隔でクラックが発生する問題点がある。これまでに、基板引上げ法で作製したコロイド結晶には、引上げ方向に大きなクラックが発生することやその抑制法としては柔軟性を有するガラスファイバーの利用が有効であることを明らかとしてきた。しかしながら、ガラスファイバーを基板に用いた場合、コロイド結晶の形成位置を制御できない問題点があった。そこで本年度は、ファイバー問にサポートファイバーを配置し、コロイド結晶のクラック抑制効果に加え、形成位置の制御について検討した。 PS粒子分散濃度2.14wt%、引き上げ速度80nm/s、室温で2本のファイバー間にサポートガラスファイバーを配置して、コロイド結晶の作製を試みた。その結果、サポートファイバーを用いることにより、コロイド結晶の形成位置を制御させることに成功した。また、ファイバー問距離を1.2mmまで大きくしても、クラックの極めて少ないコロイド結晶が得られることがわかった。これは柔軟なファイバーを基板とすることでコロイド粒子問の収縮によるクラックが抑えられ、基板と比べ溶媒が前後左右に蒸発することで粒子配列の欠陥が抑えられたと考えられる。さらに、分散溶液にAgaroseを加えたところファイバー間距離を2.1mmまで拡張でき、欠陥の無い領域(2.1mm×2.1mm)では高い反射率のコロイド粒子膜が得られた。これは、コロイド結晶中でAgaroseの水素結合による網目構造が形成され、コロイド粒子間の結合が強くなったためと推測される。
|