研究概要 |
新規sp2炭素材料の候補として、ナノチューブをつなぐテトラポッド型の接合を提案し、その構造と電子状態に関する基礎的知見を理論から提供することを目的として研究を行った。今年度は、可能な構造を網羅的に発生する手法の開発を継続するとともに、特に興味深い電子状態を示す構造について、より詳細な検討を行った。 テトラポット型接合の発生法として、Diudeaグループによって開発されたmap operation法がある。map operation法では発生できない構造として、我々はこれまでに数種類の構造を見出していたが、今回はそれを整理し、欠陥として7員環のみを含むテトラポッド型接合に限定して、可能な構造を網羅的に発生させるアルゴリズムの開発を試みた。具体的には、sp2ネットワークの中でmap operation法によって導入された7員環を順次移動させて、新たな構造を発生させる方法を検討した。全ての構造を発生させる万能アルゴリズムを確立するには至らなかったが、4本のチューブが等しい場合について、map operation法を補完してテトラポッド型構造を発生させることが可能になった。 また、部分平坦バンドをフェルミ準位に示す構造に着目し、その電子状態を詳細に調べた。その結果、部分平坦バンドの起源は(6,0)チューブの接合部に挿入された7員環の対称性によるものであることが明らかになった。 さらに、新しい方向性として、太さやカイラリティの異なるチューブを接合するテトラポッド構造を提案した。この構造については、現在も検討を続けている。
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