研究概要 |
標的細胞への選択的ターゲッティング技術の確立はドラッグデリバリーシステムやイメージングなど医療への貢献が期待できる。標的細胞への選択的ターゲッティング技術を確立すべく有用な多機能バイオナノシリカ粒子の作製を行なった。多機能バイオナノシリカ粒子の作製について、A)サイズ制御、B)内部機能化、C)表層機能化を検討し以下の結果を得た。 A)サイズ制御:"粒子サイズー細胞ターゲッティング相関"を検討するために様々なサイズの粒子の作製を検討した。シリカ粒子のサイズとサイズ分布の評価は透過型電子顕微鏡、動的光散乱法等にて行った。平均粒径20、50、100、200、500、1,000nmのシリカ粒子を作製できた。反応条件の検討によりサイズ収率20%以内の粒子の作製が可能となった。 B)内部機能化:粒子にシグナル分子を含有させ内部機能化を行なった。シグナル分子として蛍光有機色素であるローダミン、フルオロセイン、ルテシウムを用いて内部機能化に成功した。多種の蛍光色素の併用、蛍光強度の調整によるバーコード化粒子の作製にも成功した。 C)表層機能化:"粒子表層機能化-細胞ターゲッティング相関"を検討するためにバイオ分子を用いて表層機能化の検討を行った。GFP、抗体、アルブミン、ストレプトアビジン、ポリエチレングリコールなどにて表層機能化を行なった。表層機能化の評価をフローサイトメトリーを用いて行い、表層機能化に用いた蛋白質に対する蛍光標識抗体などで粒子表面に結合した蛋白質を確認することができた。さらに粒子のゼータ電位を測定し、その変化や値から表層機能化の評価も行なった。 サイズ制御並びに内部機能化、表面機能化といった多機能化が順調に結果が得られており、技術的基盤もより整備できた。また新規なシリカ粒子の開発にも成功し、研究の発展性をより高めつつある。
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