我々はヒアルロン酸でコーティングされたDNA/PEI複合体は、活性を維持したまま凍結乾燥することができ、再水和後も安定に分散することを最近見出した。さらに本研究において、極低濃度でDNA、 PEI、およびHAを混合し、得られる微小な三元複合体を凍結乾燥し、少量の水を加えることで、これまで不可能とされていた極微小なDNA複合体超微粒子の高濃度分散液の調製に成功した。 様々な濃度で調製したDNA複合体を凍結乾燥し、[DNA]=200μg/mlに再水和した。調製時の濃度が低いほど、複合体は再水和後も小さな微粒子状であった。 この小さな三元複合体を担癌マウスの尾静脈内に投与すると、腫瘍内で非常に高い遺伝子発現が見られ、またその発現効率は調整濃度が低いほど、すなわち複合体粒子が小さいほど高かった。 GM-CSF遺伝子をコードしたプラスミドを用いて同様の極微小な複合体を調製し、担癌マウスに投与してその治療効果を調べた。 静脈内にプラスミド100μgを含む複合体を一日おきに五回投与したところ、四匹中二匹のマウスで顕著な腫瘍の増大抑制が見られた。 腫瘍局所内投与では劇的な治癒効果が見られ、四匹中三匹で腫瘍の完全消失が、また残る一匹においても顕著な増大抑制が見られた。
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