本研究開発においては、「カーボンナノチューブ多項目高感度バイオセンサーアレイ」の開発を目指した。金属表面に高密度のカーボンナノチューブを形成し、カーボンナノチューブ表面にプローブDNAや抗体を固定化し、カーボンナノチューブに結合したDNAや蛋白を電気化学的に酸化・還元することにより、標識なしで電流として直接高感度に検出する。これをチップ上にアレイ化し、多くの健康マーカーを網羅的に解析するQOL向上、家庭内診断チップを開発することを目的とし、以下のことを行った。 1.空気層、中間膜、流路層の三層からなる空気駆動型マイクロポンプを作製し、微小流体の流量制御を行うことに成功した。 2.カーボンナノチューブ電極とマイクロポンプとをマイクロチャネル上に取り入れることにより、微小化学分析システムを作製した。一つのチップ上で溶液を自動的に交換し、微量物質の測定が可能であることを示した。 3.作製した微小化学分析システムを用いて溶液の流量を自動制御し、タンパク質であるグルコースの検出を試みた。カーボンナノチューブ電極にグルコースオキシダーゼを化学修飾することにより、グルコースの定量的選択的な検出に成功した。
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