研究概要 |
分数計画に対する研究は特に以下の点について注意を払った : 分数の個数が増えても, 計算時間が分数の個数に対して指数オーダで増えないこと. まず, 線形関数の分数和を重点的に研究すること, それから, 問題に対する線形緩和を研究し, より変数の少ない緩和式の定式化を目指すことである. 分枝限定法を用いる場合, 導入した変数の個数が多すぎると, 効率的なアルゴリズムを設計することが難しくなるためである. このような方針の下で, 分数和計画に対するコンパクな線形緩和ができた. 計算機実験を行った結果, 提案するアルゴリズムは従来の線形緩和を用いた分枝限定法より効率がよいことが確認された. モチーフ抽出の研究に関しては, ACSを用いたアルゴリズムを開発し, マルチポルシークエンスアライメントに適用した. 計算機実験では, 人工的なデータと実際の肝炎シークエンスなど5種類を使用した. どのデータについても, 改良したアルゴリズムは従来のACS方法に比べ, 最大2900倍速い(従来方法の1/2900の時間しか要しない)結果を得た. 速度はかなり改善されたと思われる. Bioinformatics分野ではよく使われているGibbs Sampling法との比較も行った. Gibbs Sampling法よりも開発したアルゴリズムの方は計算速度がやや速い結果を得た. ArocもGibbs Sampling法よりいい結果も得た(約[0.6-0.72]対[0.75-0.87]). 分数和計画問題対する研究結果を直接にモチーフ抽出への応用することが至ってない. その一因はモチーフ抽出問題で現れる分数計和計画の変数が整数であり, モチーフ抽出問題に対するより効率的なアルゴリズムを開発することには更なる研究が必要であると思われる.
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