「高齢家族とバーチャル同居を実現させるユビキタスITシステム」を構築するために、本年度は以下3項目に関する研究を執り行った。なお、2.と3.に関しては、被験者に口頭と書面により研究内容を丁寧に説明し、書面によるインフォームドコンセントが得られた場合にのみ実施した。1.機器開発:これまで15万円程度必要であったハードウェア費用を5千円以下、運転費用は軍気料金(約400円/月)だけとすることを目指し、以下の3機器を開発した。(1)生活情報取得センサ:テレビ稼働センサを始め生活状態を反映するセンサとして、照明センサとテーブルタップ形状の電流センサを開発した。(2)USBセンサからの情報収集:センサからの信号を廉価なUSBインターフェースを介してPCに接続できる機器を開発した。さらに、USBインターフェースを無線化し、センサとPC間の信号授受を無線通信可能とした。(3)個人のインターネット利用機材へのシステム組み込み:Windows(R)PCを本システムの一部として利用できる組み込みシステムを開発した。2.臨床評価(試作機の評価と改良):上記1.で開発した機器を、実際に高齢家族宅と遠隔地家族宅へそれぞれ設置し、センサの検出性、安定性、設置問題点などを検討し、機器を改良した。これにより、安定して信号を検出することが可能となった3.日常生活度の定量評価(定常状態の生活情報収集):高齢者家族と遠隔地家族宅データを10世帯で6ケ月から1ケ月程度収集している。次年度は、これらの研究成果を発展させ、システムの完成度を向上させると共に3.で収集されるデータから非日常性を検出するアルゴリズムを開発する。
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