研究課題/領域番号 |
19510162
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
田村 坦之 関西大学, システム理工学部, 教授 (90029257)
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研究分担者 |
赤沢 克洋 島根大学, 生物資源科学部, 准教授 (70304037)
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キーワード | 安心・安全 / 不確実性 / プロスペクト理論 / 階層的意思決定法 / 社会ネットワーク / 共分散構造分析 / 公的年金制度 / 世代別積立方式 |
研究概要 |
本研究では、安心・安全社会の構築を目的とし、具体的なテーマとして介護ロボットの安心感評価と世代別積立方式に基づく公的年金制度について検討を行っている。 介護ロボットの安心感を評価するための方法としてプロスペクト理論および社会ネットワーク分析による二つのアプローチを試みた。Kahneman-Tverskyのプロスペクト理論を不確実性下の環境、すなわち各事象の生起確率が未知かつ複合事象の基本確率が既知である環境で使えるよう拡張し、「不確実性下のプロスペクト理論」を展開した。また、人間の選好を定量化する場合に備え、従来の階層的意思決定論(AHP)の方法論的欠点を補うために「間隔尺度に基づくAHP」を開発した。社会ネットワーク分析によるアプローチでは、限界集落住民を対象とした聞き取りアンケート調査を実施し、人々のつながりと安心感の関係性について分析を行っている段階である。 公的年金制度に関して、現行方式から世代別積立方式への移行方法について提案した。具体的な移行方法は、保険料の納付開始年齢に達していない1990年以降生まれの世代には世代別積立方式を順次適用し、そうでない世代には国民年金、厚生年金および共済年金からなる現行方式を適用するというものである。ただし、1990年という値は暫定的な値であり、納付開始年齢に達していなければ任意に選ぶことが可能である。現行方式の財政収支をモデル化し、世代別積立方式に移行する場合とそうでない揚合の国庫負担の推移を示した。今後は、世代別積立方式下における年金額の算定方式を提案し、その算定方式を適用した場合の世代内公平性について検討する。
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