本研究は、GISおよびSOMを用いて、都市空間情報の統合およびデータマイニングについて検討し、既存データの有効活用、学際的な都市研究、実際の都市管理・政策決定に貢献することを目的とする。具体的には、まず、日本の都市に関して、国、地域、市町村などの各レベルにおいて、どのような調査がどのような時間間隔で行われているのか、そのデータ形式、データベース管理のソフトウェア、管理・運用部門などについて調査・整理する。同様に、情報先進国である米国の都市では、どのようなデータ収集・管理の方法を取っているのかについても調査し、吸収すべき経験をまとめる。次に、本学の所在地である大分県別府市を例として、既存のあらゆる調査データを収集し、GISを用いて都市空間情報システムを構築する。それぞれの空間データの要素、構成、特徴などの基本モデルを分析した上、GISによるデータ統合の有効性と問題点を明らかにし、米国の経験をふまえながらさらに改善方法あるいは改善する方向性を提案する。最後に、構築された別府の空間情報システムを用いて、如何にして膨大なデータから必要な情報を抽出し、適切な手法を用いて、課題を見つけ、知見を得るかについて検討する。知能情報学手法、特に自己組織化写像(SOM)の使用を提案し、従来の主流であったさまざまな統計手法と比較分析しながら、その利点と限界を検証する。さらにナレッジマネジメントの視点から都市空間情報データウェアハウスのあり方について提案する。平成19年度は主に次の2つに重点をおいて調査研究を行った。(1)日本における都市空間情報データベース、特に統計調査の現状および問題点、入手可能性について調べた。(2)入手した別府市のデータについてSOMとGISによる空間分析を試みた。
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