研究概要 |
本研究は,模型トンネル内での火災実験時の避難環境について被験者によるアンケートによって避難限界に対する基本データを収集すること,および模型実験時の映像から実際の火災時における避難者の視界を模擬しうる映像を得る事を目的としている. まず,火災実験用の模型トンネルを利用して、被験者が直接トンネル内に入り、火災時の状況判断に関するアンケート調査はほぼ目的を達成し,幅広い年齢層に渡る被験者のデータを収集することができた.その結果,大半の被験者がCs濃度で0.3程度から避難出来ないと判断し,従来の避難限界値0.4より低い煙濃度で避難可能と判断した.また,年齢が低いほど早く危険を察知し,濃い煙濃度でも避難可能と判断する傾向が見られた.これらの結果は,避難限界の検討に対する基礎データとして重要な意義があると考える.また,平成20年度中に研究成果を学術論文としてまとめる予定である. 次に,避難者の視界を模擬する映像の取得に関しては,煙中での撮影という困難性のため,不十分な映像ではあるが,模型トンネルにおける実写映像を全ケースの半分程度のについて得ることができた.トンネル火災時にどのような状況になるのかに関しては,トンネル管理者も含めて殆んど知られていない.本研究によって得られた映像はトンネル火災時の煙の危険性についての啓蒙活動に貢献しうると考えている.
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