平成19年度は、任意形状のフライングデブリの運動を取り扱うことができるよう現有の数値シミュレーションコードを修正するとともに、その有効性を検証するために衝撃波管実験を実施した。 数値シミュレーションは、圧縮性流体に対する支配方程式(質量、運動量、エネルギーの各保存式)を有限体積法によって離散化し、微少体積要素(計算セル)内の物理量の平均値の時間発展を追跡することで行った。空間的な離散化はデカルト座標系上の等間隔計算格子上で行い、移動する物体境界はカットセル法によって取り扱った。物体形状の情報はIGESあるいはSTL形式で取り込めるよう数値シミュレーションコード内のデータ管理方法を変更した結果、離散点の集合で表現された任意形状のフライングデブリを取り扱うことが可能となった。また、大規模な3次元問題を扱う際に問題となる計算時間の増大およびメモリー空間の枯渇を解決するため、解適合格子法の導入の可能性について検討した。具体的には、衝撃波を伴う非定常流の特徴の検出法を吟味し、統計量に基づいた閾値の決定法の有効性を確かめた。 さらに、修正された数値シミュレーションコードの検証を行うため衝撃波管実験を行った。伝播マッハ数1.3の平面衝撃波によって誘起される物体(直方体)の運動を実現し、高速度ビデオ撮影(毎秒1000コマ)を行うことでその軌跡を測定した。上述した計算コードを用いて実験と同じ条件でシミュレーションを行い、実験結果と比較を行った結果、衝撃波の進行方向の変位および重心周りの角変位に関して高い精度で再現できることがわかった。
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