研究課題
わが国の活火山地域での火山防災体制について、ハザードマップ、地域防災計画、噴火警戒レベルなどから整備状況を検証した。これまでに40活火山で135ハザードマップが公表されが、公表後10年以上経過しても更新されてない地域がある一方で、更新をすすめて明解で優れた住民向け防災マップが作成された地域がある。活火山地域をもつ26都道県で地域防災計画火山災害対策編を作成したのは7都県のみで、噴火警戒レベルが導入されたのは27活火山地域である。これちの結果を、資料の詳細画像を収録し、防災科学技術研究所HPで公開(随時更新)している。活火山地域での効果的な防災対策には、噴火活動を想定した噴火イベントツリーと噴火シナリオの検討整備が有効である。しかし、これまでわが国では検討された活火山地域は殆どない(噴火シナリオは伊豆大島を噴火予知連絡会が公表)。中・長期的には、対象活火山の将来の火山活動についての危険度分析評価が必要で、対象火山地域のハザード、脆弱性、損害価値から見積もる。そのためには地域基礎情報をGISで収録する必要がある。しかし、わが国の活火山地域ではこうした危険度の分析評価は全く未着手である。那須火山地域をとりあげて、GISでの防災基礎情報を整備し、噴火イベントツリーと噴火シナリオを作成し、火山危険度評価を試行的に実施した。その結果、那須岳地域では避難施設や宿泊施設の多くが火口10-20km地域に分布し、火山防災マップでのマグマ噴火での火砕流と火山泥流の想定分布地域内にあることから、危険度が高めの評価となる、などが明らかになった。活火山地域での土地活用や居住地域が多いわが国での火山防災体制の構築のためには、ハザードマップ、地域防災計画、防災施設の整備に加えて、噴火イベントツリーや噴火シナリオ、危険度分析評価が必要とされる。
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火山ハザードマップ火山防災,「火山爆発に迫る」(全227頁)(東京大学出版会)
ページ: 183-197
Journal of Disaster Research 52
ページ: 297-304
那須岳火山噴火警戒レベル導入検討報告書,那須町他
ページ: 27-71
http://www.bosai.go.jp/library/v-hazard/