研究課題
有珠火山を主要な対象としそ、「噴火活動推移予測の高度化」および「マグマ活動を規制する場の解明」に向けた研究を進め、本年度は以下の成果を挙げた。噴火活動推移予測の高度化に向けては、特に噴火前兆地震活動の時間別発生頻度・マグニチュード・震源に関して、過去の山頂噴火、山麓噴火の観点から定性的な比較を行った。この結果、1977年山頂噴火と山麓噴火前兆初期とは地震発生頻度、マグニチュード、震源に関して類似性が認められること、山麓噴火に関しては、前兆地震開始数日後の急激な地震発生頻度の増大・マグニチュードの増加・震源の水平方向への拡大といった特徴が挙げられ、活動推移予測のひとつの判断材料となる可能性を指摘した。一方、長期的活動予測に向けて、静穏期の地殻活動の解明に向けた観測研究を進めた。この結果、静穏期の山頂直下の定常的な地震活動が1977-82年噴火潜在ドームの沈降に伴い発生していること、その震源域は2000年噴火前兆地震より有意に浅く、2000年噴火が山頂直下の地殻活動にほとんど影響を与えなかったこと、を見出した。これらの成果はAoyama et al。(2009)として海外の学術雑誌に掲載されるとともに、American Geophysical Unionにて発表された。また、マグマ活動規制する場の観点から、過去の噴火活動に伴う諸現象を、地下構造に関するこれまでの知見をもとにその関連性について議論を行った。これら過去の噴火前兆地震活動の比較、火山活動と地下構造との関連に関しては「有珠火山における噴火活動推移予測の高度化とマグマ活動を規制する場の解明に向けて」と題した文章にまとめ、これまでに発表された学術論文・参考資料と併せて、成果報告書にとりまとめた。これらを実行するにあたり、予算は補足的野外観測・研究代表者および分担者の共同解析・研究打ち合わせのための旅費、数値地図購入、成果報告印刷・製本、等に使用した。
すべて 2009
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件)
J.Volcanol.Geotherm.Res. 187
ページ: 203-217
Proceedings of SEGJ 9th International Symposium -Imaging and Interpretation-
ページ: 4