研究概要 |
・2004〜2007年の豪雨災害による犠牲者239名の発生状況をデータベース化し,(1)能動的に危険な場所に接近したことによって遭難した犠牲者が全体の1/4を占めること,(2)屋外で移動中の遭難者が全体の約6割を占めること,(3)現代の防災情報播種として自宅在住者を対象に整備されているが,そういった形態の犠牲者は3割程度にとどまり,移動中の犠牲者への対策が重要であることなどを指摘した. ・2008年6月に発生した岩手・宮城内陸地震の犠牲者について豪雨災害と同様な手法での発生状況分類を行った.犠牲者はほぼすべて屋外での土砂災害によるものであり,移動中の人に対する防災対策が重要である点は豪雨災害と同様な課題であることを指摘した. ・2008年6月および7月に緊急地震速報を経験した岩手県等を対象にアンケート調査を行い,リアルタイム防災情報が必ずしも人の防災行動に結びつかないことを指摘した. ・2008年7月28日に発生した神戸市都賀川における水難事故,同8月29日に愛知県岡崎市などで発生した豪雨災害に際して現地調査を行い,犠牲者の発生状況等について解析した. ・住民対象の防災教育,ワークショップなどで取り上げる効果的な情報を探索するために,海岸近くの集落を対象に住民調査を行い,標高に対する認知と防災行動や防災意識に関係があることを明らかにした.人の空間認知に関する研究例はあるが,鉛直方向の認知(標高)に着目した調査例は類例が無く,空間認知と防災行動を結びっけた研究例もほとんど無く,この成果は注目を集めている.
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