研究概要 |
地震時の浮き上がりに関して,現在推奨されている対策は埋戻し土をセメント改良するもので,埋戻し土の液状化を完全に抑制するものであるが,地盤振動に対しては不利な条件で,浮き上がりメカニズムを考慮した合理的な対策ではない。本研究は,地震時の液状化にともなう地中構造物,特にマンホール(人孔)の浮き上がり被害に対して,人孔の埋設環境や施工方法,コスト,維持管理等を考慮した合理的,現実的な対策方法を検討し,その効果の定量的評価と設計に資する技術的情報を得ることを目的としている。 平成19年度の研究では、主として振動台実験による浮き上がりメカニズムについて検討を行い,液状化の発生がトリガーとなるものの,土粒子の回転,回り込みが主たる浮き上がりの要因であることを実証した。 平成20年度は,前年度に明らかにした浮き上がりメカニズムをもとに,浮き上がり抑止のための対策工として,液状化そのものを抑制するために高価な対策を施すのではなく,浮き上がりの主たる要因となる土粒子の回り込みのみを抑止することを目的とした対策を提案し,その施工性と対策効果について検討を行った。特に,人孔敷設時に掘削面に少量のコンクリートを打設するだけの対策は,施工性、経済性の面からも非常に有効である。この工法について,大規模地震動によっても十分に対策効果を発揮することを,振動台実験を通じて定量的に確認した。また,砂質土地盤,粘性土地盤だけでなくシルト質地盤においての浮き上がり対策効果も検証し,幾つかの対策工法の相対比較も行っている。
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