研究概要 |
(1)生育に必須な過程に関与する遺伝子群の機能解析 DNaseをコードすると予想される機能未知必須遺伝子yqgFについて、高温感受性変異株から調製したプラスミドでは超らせん構造が変化していることを見出した。またYqgFタンパク質を精製して調べた結果、endonuclease活性が検出された。また遺伝学的解析により、転写に関与することが示唆され、DNAの正常な構造を維持することにより転写を正常に進ませる新規なメカニズムの可能性が考えられた。機能的に関連している三つの機能未知必須遣伝子yeaZ, ygjD, yjeEについて、YgjDとYeaZが複合体を作ることを見出した。YgjD-YeaZ複合体を部分精製して調べた結果、種々のDMを基質にした時に興味深いDNase活性が検出された。近年古細菌のホモログがAP endonucleaseであるとの報告があったが、遺伝学的解析からは支持する結果が得られず、これも転写に関与することが示唆された。 (2)染色体大規模欠失株の解析 染色体の約30%を欠失させた大規模欠失株の定常期における生存率が著しく低下している事を見出し、この性質が複数の遣伝子が欠損したことによることを明らかにしていたが、その原因遺伝子の一つとしてdpsを同定した。また増殖期の生菌率が低下していることもわかり、これも複数の遺伝子の欠損によるもので、やはりdps遺伝子の欠損が原因の一つであることがわかった。Dpsタンパク質は、定常期においてDNAと非特異的に結合して安定な「バイオクリスタル」と呼ばれるヌクレオプロテイン複合体を形成し、多くのストレスからDNAを保護していることが知られていおり、これまで外からのストレスに対するdps遺伝子の機能については報告されていたが、今回dps遺伝子が直接増殖、生存に重要であることが明らかになった。
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