光反応性trifluoromethylphenyldiazirine含有核酸親和性プラチナ化合物の合成とその性質検討ならびにマイクロアレー法を用いた網羅的相互作用解析法の確立 プラチナ含有エチレンジアミン化合物骨格が核酸親和性を持つことを利用し、種々の光反応性誘導体へと変換反応を検討し、その親和性などのパラメーターを測定により構造活性相関を網羅的に探索することで、核酸-蛋白質(糖質)の光アフィニティーラベルによる相互作用解析を検討する。 今年度は昨年度合成に成功した光反応性基trifluoromethylphenyldiazirineを持つ2価プラチナ化合物の性質を種々検討した。光分解性については、0.1mM以下において、350nm付近の光照射によりカルベンが発生し標的生体分子との間にクロスリンク反応が進行することをUVおよび^(19)F-NMRを測定することで、確認した。また核酸との相互作用のモデル系としてGMP(グアノシンー1-リン酸)との相互作用を検討した。1^H-NMR解析によるグアニジン塩基のケミカルシフトの変化を追跡し、trifluoromethylphenyldiazirineをもつプラチナ化合物がGMPと相互作用を起こしている事を確認した。この事から合成した化合物が、目的とした核酸親和性を持つことが明らかとなり、有機プラチナ化合物に光反応性trifluoromethylphenyldiazirineを修飾してもその親和性に大きな変化が見られない事を明らかとし、マイクロアレイによる解析法の基礎を確立した。
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