イソプレノイド化合物の多様性を生出す「鍵」となる環化酵素の新規遺伝子の取得、組換え酵素を用いた詳細な酵素学的諸性質の解析を行った。 1.Streptomyces属放線菌により生産されるKS-505a(longestin)は、多環性テトラテルペン骨格にメチルグルクロン酸とスクシニル安息香酸が付加したユニークな構造を有している。その生合成機構を知る第一歩として生合成遺伝子群の取得を試みた。最初にC40の基質を供給するオクタプレニル2リン酸(OPD)生合成酵素遺伝子をPCRで取得し、次いでその周辺領域を探索した結果、24からなる遺伝子群を見出した。その中のOPDの環化に関与すると推定される遺伝子を破壊した結果、KS-505aの生産性を失ったことから、これら遺伝子群が実際にKS-505aの生合成に関与していると推定された。本遺伝子は炭素数40の環化反応を触媒する酵素としては初めての例である。 2.米はphytohormoneであるgibberellinとphytoalexinsであるoryzalexinやphytocassaneの生合成のための2つのent-copalyl diphosphate生合成酵素(各々OsCPS1とOsCPS2/OsCyc2)を持っている。これらの酵素を組換え酵素として発現させ、酵素学的な両者の違いを詳細に検討した。その結果、至適pH・温度、2価金属要求性、基質であるゲラニルゲラニル2リン酸に対するKm、Vmax等はほとんど同じであったのに対し、基質阻害はOsCPS1が50-60μMで疎外を受けたのに対し、OsCPS2/OsCyc2は本濃度では影響を受けなかった。また環化酵素阻害剤であるAmo-1618に対してOsCPS1はより強い感受性を示した。
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