1、合成芳香族基とアミノオキシ基を短いリンカーで連結した新規な試薬をデザインした。芳香族基にはナフタレンを選択し、アミノオキシ基との間を短いアルキル鎖で連結した。また、検出をビオチン-アビジン系によって行うためにアミノオキシ基一ナフタレンからさらに別のリンカーを分岐させてビオチンを連結した。一方、5'末端をフルオレセィン標識した18塩基からなるRNAも化学合成し、標識試薬との反応に供した。 2、反応解析合成した新型標識試薬は、水に難溶であった。そのため、全ての反応を5%ジメチルスホキシド(DMSO)存在下で行った。まず、RNAの3'末端を過ヨウ素酸酸化した後、合成した標識試薬と反応させてその反応効率を変性ポリアクリルアミドゲル電気泳動によって分析した。その結果、新規な標識試薬は従来の類似標識試薬と同等の反応性を示した。またこの標識試薬は、3'末端の塩基の種類に影響されずに全てのRNAに対して同じ反応性を示した。次に、RNAと相補的なDNA(またはRNA)を加えて2本鎖RNAに対する標識試薬の反応性を調べた。反応の結果、1本鎖RNAに対する反応とは異なり、合成した新型試薬は、2本鎖RNAに対して1本鎖よりも反応性が上昇した。一方、従来の標識試薬では2本鎖RNAに対しても1本鎖と同じ反応効率であった。以上の結果より、標識試薬に導入した芳香族基が、反応部位の塩基対とスタッキングすることによって、2本鎖RNAに対して高い反応性を示したと考えられる。
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