徳島県大潟湾のセルカリアと油壷、小網代のホソウミニナに寄生していたCercaria hosoumininaeを、形態的、遺伝学的に比較検討した。さらに香川県の財田川において採集したホソウミにナから得られたセルカリアを形態的に詳細に記載した。 また、ヘナタリの分布に関して、生息している場所としていない場所の要因分析を試みた。分布地として和歌川河口、分布していない場所として藤前干潟を選び、底質と水を持ち帰り、実験室において、底質、水質選択実験を行った。ペトリ皿に2カ所の底質をそれぞれ半分ずつ敷き、1つは藤前の汽水を他方は和歌川の汽水を加え、和歌川で採集したヘナタリを入れて底質、水質選択実験を行い、生存率も記録した。その結果、ヘナタリの死亡率、行動には水の影響はなく、和歌川の底質上に集まり、藤前干潟の底質上には移動しなかった。従ってヘナタリは藤前干潟の底質より和歌川の底質を選択する事が分かった。その要因を知る目的で粒度分析を行うと、底質の粒度組成は両者で大きな違いがあった。藤前では150μm以下の粒子が21.8%で、300μm、以上の29.5%と変わらないくらい多いが、和歌川では150μm以下が10.2%で、300μm以上の粒子は47.3%を占めた。底質の化学的な成分がどの程度影響しているかは分からないが、底質がヘナタリの分布の大きな要因となっている可能性が示唆された。 3月に沖縄県の各地の干潟を調査し、巻貝に寄生している吸虫類を解析中である。
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