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2009 年度 実績報告書

回遊魚に配慮した河川管理技術の開発―生息決定要因と個体群動態の解明

研究課題

研究課題/領域番号 19510236
研究機関愛媛大学

研究代表者

高木 基裕  愛媛大学, 南予水産研究センター, 准教授 (70335892)

キーワードDNA多型 / マイクロサテライト / 回遊魚 / オオヨシノボリ / 瀬切れ / 堰堤 / 耳石 / 回遊履歴
研究概要

河川環境において、伏流による瀬切れや堰・ダムなどの人工構造物が、魚類をはじめとした河川生物の生息における大きな限定要因となっている。本研究では、マイクロサテライトDNA多型解析法を用いて、伏流と多数の人工構造物で河川が分断されている重信川水系におけるオオヨシノボリ個体群の遺伝的集団構造の解析を行うとともに、耳石Sr/Ca濃度による回遊履歴の判定を行い、人工構造物による分断の程度を評価することを目的とした。
共試魚は重信川水系のオオヨシノボリ8河川11地点からそれぞれ30から60個体用い、DNAを抽出した。増幅したマイクロサテライト領域は、電気泳動を行った後、アリルサイズを決定し遺伝的解析に用いた。耳石Sr/Ca解析は石手川ダム上流部、石手川ダム直下域および重信川上流部の堰堤が連なる河川域の上流の個体のSr/Ca濃度を計測した。
遺伝的多様度を示すヘテロ接合体率(期待値)の平均値は0.843~0.889の値を示し、個体群間で大きな差は見られなかった。各個体群間の遺伝的分化程度を示す異質性検定では、石手川ダム上流域の藤野および五明川の個体群は、石手川水系以外のほとんどの個体群と有意差がみられた。また、石手川水系の藤野、宿野および五明川個体群間において有意差はみられなかった。耳石Sr/Ca解析においては、重信川藤の内の2個体のSr/Ca値は、いずれも耳石中心部から相対距離20%付近まで高い値を示し、その後顕著に減少した。それに対して石手川藤野の2個体および石手川宿野の3個体のSr/Ca値は、それぞれ耳石中心から縁辺部にわたり安定して低い値を示し、陸封されていることが実証された。
以上の結果から、石手川ダム上流域個体群の陸封化が確認されるとともに、人工構造物による分断の影響を受け、石手川ダム上流域の個体群は他の重信川個体群と遺伝的に分化していることが示唆された。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2009

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 両側回遊型オオヨシノボリのダム湖における陸封化と陸封化個体のダム降下2009

    • 著者名/発表者名
      高木基裕、矢野諭、角崎嘉史、井上幹生、清水孝昭
    • 学会等名
      応用生態工学会第13回研究発表会
    • 発表場所
      浦和
    • 年月日
      2009-09-27

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公開日: 2011-06-16   更新日: 2016-04-21  

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