研究課題
本年度は、新たに、種子食昆虫であるマメゾウムシが幼虫期に死亡し食害度の低い種子、および寄生蜂にマメゾウムシ幼虫が寄生されたため同様に発育途中で死亡した種子を用いて発芽実験を行った。またこれまで実験対象にしていなかった数種のマメについても発芽実験を行った。実験前に種子サイズを測定し、種子サイズと発芽、マメゾウムシによる食害、そして寄生蜂による寄生との関係を調べた。その結果、種子サイズは大きいほど発芽しやすいことが確認された。一方、マメゾウムシによる食害と種子サイズの関係はより複雑で、種によって異なった。小さい種子ほど食害されやすい種のなかにはジェネラリストのマメゾウムシに食害されるものが多く、反対に大きい種子ほど食害されやすい種ではスペシャリストのマメゾウムシに食害されるものが多かった。これはスペシャリストほど母親がコストをかけて大きい種子に選択的に産卵するためと考えられる。さらに小さい種子ほど寄生蜂に寄生されやすいことがわかり、ゴール形成者の寄生にみられるのと同様に産卵管の届く大きさの発育ステージの植物内寄主を寄生蜂が選択的に寄生している可能性がある。食害された種子はほとんどの種で発芽率が低下したが、スペシャリストのマメゾウムシに攻撃される種では反対に発芽率がよくなった。これはスペシャリストであるサイカチマメゾウムシでも見られた植物との相利共生関係をより一般化する発見である。
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