• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2008 年度 実績報告書

中欧におけるマイノリティの相対化と「ロマ」-チェコ及びスロヴァキアの事例研究-

研究課題

研究課題/領域番号 19510243
研究機関東北大学

研究代表者

佐藤 雪野  東北大学, 大学院・国際文化研究科, 准教授 (40226014)

キーワードマイノリティ / ロマ / チェコ / スロヴァキア
研究概要

「ロマ」は、世界各地に居住しているマイノリティである。「ロマ」を「ジプシー」の言い換えとすると、必ずしも一つのエスニック・グループとはいえなくなる。なぜなら、「ジプシー」は多種多様で、共通の特徴やアイデンティティがあるわけではないからである。また、「ジプシー」という集団の括りは、しばしば他者から貼られたレッテルであった。しかし、チェコやスロヴァキアに限定してみると、そこで生活している「ロマ」は、文化・言語・歴史などの共通性を持ち、共通のアイデンティティを持っており、一つのエスニック・グループといってよい存在である。従って、ロマの集団への帰属は、自己規定によるものと、他からのレッテル貼りによるものとが共存していることになる。近代的「民族」としての誕生も、他者との関係で創り出されるともいえるだろう。
さて、マイノリティは、数的に少数派であり、多数派より政治的・経済的・社会的に劣位であることが多いとされるが、この意味では、ロマは各地において、典型的なマイノリティであるといえる。本来、マイノリティとマジョリティは相対的なものであり、状況によってその関係は変化する。しかし、「ロマ」は常にマイノリティであった。様々なマイノリティが相対的に捉えられる中で、今後も「ロマ」は絶対的にマイノリティであり続けるのだろうか。現代スロヴァキアにおけるロマの教育問題からは、ロマはエスニックな意味だけでなく、社会的弱者という意味からもマイノリティとして扱われるべき存在であることがわかった。2008年に邦訳が出版されたマッキャンの小説『ゾリ』は、スロヴァキアを舞台にロマの女性詩人を主人公としている。このような作品が生まれたことは、非ロマの立場からロマに正面から取り組む文学的視点が育っていることを示している。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2009 2008

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Predvalecne Japonsko ocima Cecku-pohled ceskych cestopisu2009

    • 著者名/発表者名
      Yukino SATO
    • 雑誌名

      Historie a cestovni ruch. Perspektivni a podnetne spojeni (Praha : VSO) (印刷中)

  • [雑誌論文] Ceska, ktera cestovala do Japonska na zacatku 20. stoleti2008

    • 著者名/発表者名
      Yukino SATO
    • 雑誌名

      Cestovani vcera a dnes 5-1

      ページ: 10-11

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 経済の現状-計画的に作り出された市場経済は機能しているか2008

    • 著者名/発表者名
      佐藤雪野
    • 雑誌名

      薩摩秀登編著『チェコとスロヴァキアを知るための56章』第2版、明石書店

      ページ: 134-139

  • [学会発表] ロマと非ロマの共生-スロヴァキアとチェコの事例2009

    • 著者名/発表者名
      佐藤雪野
    • 学会等名
      第2回ロマ(ジプシー)シンポジウム
    • 発表場所
      国立オリンピック記念青少年総合センター
    • 年月日
      2009-03-15
  • [学会発表] マイノリティの歴史とオーラル・ヒストリー及び回想録-チェコスロヴァキアのローマの事例-2008

    • 著者名/発表者名
      佐藤雪野
    • 学会等名
      日本西洋史学会第58回大会
    • 発表場所
      島根大学
    • 年月日
      2008-05-11
  • [図書] 中欧におけるマイノリティの相対化と「ロマ」-チェコ及びスロヴァキアの事例研究-2009

    • 著者名/発表者名
      佐藤雪野
    • 総ページ数
      62

URL: 

公開日: 2010-06-11   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi