研究課題/領域番号 |
19510244
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
岩田 浩太郎 山形大学, 人文学部, 教授 (30184881)
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研究分担者 |
菊地 仁 山形大学, 人文学部, 教授 (50125762)
松尾 剛次 山形大学, 人文学部, 教授 (30143077)
三上 喜孝 山形大学, 人文学部, 准教授 (10331290)
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キーワード | 日本史 / 地域史 / 伝承文学 / 奥羽 / 宗教 / 地域自己認識 / 国府 / 商人 |
研究概要 |
平成19年度交付申請書に記したように計画を一部変更し、岩田・三上はA伝統都市山形研究、菊地・松尾はB山形地域特性研究を実施した。具体的な分担研究の成果は、それぞれ以下の通りである。 (1)山形城下町の研究(担当:岩田浩太郎を中心に) 山形城下中心部の十日町の巨大紅花商人であったマルチョウ長谷川吉郎治家の史料を発掘し、その成長過程と商業活動を考察した。幕末維新期に山形の最大の商人であった同家の奥羽にひろがる商業網を検討し、同家が「奥羽ノ大坂」という自己及び他者認識を得ていたこと、都市山形が「奥羽の商都」として位置付いていたことを指摘した。 (2)奥羽宗教信仰圏の研究(担当:松尾剛次を中心に) 鶴岡市立図書館蔵羽黒山玉蔵坊文書の整理と目録作成を実施した。この結果、羽黒修験の中世〜近世における東日本を覆う諸活動や霞の実態を解明した。また山形城下八日町宝光院文書の整理と目録整理をおこない、文殊菩薩騎獅刺繍像と最上家との関係などの考察を進めた。総じて、中世・近世期の奥羽宗教信仰圏の構造につき知見を深めた。 (3)奥羽地域自己認識の研究(担当:菊地仁を中心に) 出羽南域における〈炭焼き藤太伝説〉〈西行伝説〉の各流布の実態と変容過程を考察し、そこにおける地域アイデンティティのありかを探った。また、出羽の地方軍記「奥羽永慶軍記」を素材に、対関東意識の一面につき検討した。 (4)古代出羽国府の研究(担当:三上喜孝を中心に) 出土文字資料の解読を通じて、古代・中世期の出羽南域の北方・南方との経済的文化的交流の様相を考察し、出羽国府の成立・移転の基盤や背景に関わる検討を深めた。また、戦国・江戸初期の巡礼者の地域聞交流に関する補足研究も実施した。 メンバーはそれぞれ雑誌論文などに成果を公表した。さらに、平成19年10月には本研究プロジェクトによる公開学術報告会「交流史からみた山形-山形地域史の再構築-」(人文学部主催)を開催し、川崎利夫・入間田宣夫・武田正・横山昭男各氏にコメンテーターを務めていただき、参加した約180名の地域研究者・教員・市民と共に地域史研究の課題について活発に議論をおこなった。
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