太平洋にある総人口1万人程度の超ミニ国家・ツバルでは、海岸侵食が進み、地中から海水が噴出する水害に見舞われ、小さな島は海面下に水没するなどの現象が続いている。こうした自然環境の破壊は、グローバルな規模で起こっている環境破壊と連動していることは間違いなく、ツバルは、いわば自然破壊のグローバル化の波に飲まれているといえる。しかも、ツバルのような小さな国では、この自然破壊を契機として、もう一つの大きな問題が生まれている。それは、社会・文化環境の急速な変化である。それまで、世界にほとんど知られていなかったツバルが、この自然環境問題で世界的に有名になったことにより、世界中のマスコミ、NGO団体、調査団、さらには観光客まで毎年押し寄せるようになったのである。そのため、ツバルの社会・文化環境は、急速に変貌を余儀なくされている。本研究の目的は、自然環境が破壊され、社会・文化環境も劇的な変貌を余儀なくされている太平洋の島嶼国・ツバルにおいて、人々が如何にして変化に適応しているかを探り、その適応のための戦術を明らかにすることである。そのため、ツバルでのフィールドワークを実施し、イギリスなどで文献調査を行う。
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