研究概要 |
杢研究は第一次世界大戦以降、日米関係が悪化する時代、ミッション・ボードという民間セクターが日米関係にどのように対処したのかを、キリスト友会(クエーカー派)フィラデルフィア年会ミッショ.ン・ボードを事例として検証することを目的とレている。平成21年度はインディーアナ州のアーラム大学フレンズ・コレクションで主要宣教師の資料を調査し、フィラデルフィア郊外にあるババフォード大学クエ「カー・コレクションにおいて機関紙を閲覧した。研究成果として、次の2点をまとめた。 1.ミッション・ボード内における伝道方針をめぐる議論について英語論文を書き、米国のクエーカー史の学術誌に投稿し、現往、『掲載にむけて修正作業中である。この論文では、初期段階ではボード内に伝道観の対立が存在したものの、次第に国際親善と国際協力を重視する方針を採るように変化したことを検証した。 2.ミッション・ボード資料に含まれていた米国フレンズ奉仕団(AFSC)の記録を整理し、ミッション・ボードとAFSCの協調関係を明らかにする論文を勤務校の紀要に発表した。2つの組織の幹部は重複しており、日米関係が悪化する戦間期,これらの組織は情報を共有し、日米交流事業を展開した。AFSCの果たす役割は次第に大きくなっていき、太平洋戦争下の日系人強制収容問題ではむしろAFSCが主導的立場になっていることを解明している。
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