平成22年度は、研究の最終年度ということで、主にこの間に取得した情報の整理と、足りない情報の補足的収集、また、韓国の研究者との交流を行った。 5月11日、牧園大学校神学部教授の金興洙氏を招き、慶応義塾大学日吉キャンパスでChristianity in North Korea during Japanese Occupation"というテーマで研究会を行った。金教授は李光隣、李容閔等の著作を紹介し、近年の韓国における主に平壌のキリスト教史研究の動向を紹介した。小さな研究会ではあったが、公開で行い、日本ではあまり得ることのできない情報を参加者と共有できた。 次いで9月に韓国での情報交換と研究者との交流を予定していたが、研究代表者の体調不良で、これを1月に延期した。1月28日から2月2日までの韓国滞在では、全州において、アメリカ南部長老派の伝道拠点を訪れ、イエス病院医療宣教博物館、新興高校、西門教会においてインタヴューと資料収集を行った。また、金山教会という、やはり、南部長老派系の教会で、植民地時代の建築がそのまま残っている教会を訪れ、牧師の案内で「キヨックチャ」と呼ばれる教会建築を見学した。男女の信徒が互いに見えない空間に居ながら、同時に牧師の説教を聞くことができる工夫が成された伝統建築物である。次に、大田の牧園大学を訪れ、金興洙教授と情報交換を行った。最後にソウルでは、延世大学神学部の徐正敏教授を訪問し、今後の研究について情報交換、相談を行った。 今年も、アメリカ系長老派が大きな勢力を占めた北朝鮮、特に平壌を訪問すること(研究開始当初の計画)はかなわなかったが、韓国の長老派系の拠点を回り、また、韓国人研究者と交流することで、北朝鮮のキリスト教についての間接的な資料を収集することができたと考えている。
|