研究課題/領域番号 |
19510263
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研究機関 | 名古屋商科大学 |
研究代表者 |
鎌田 真弓 名古屋商科大学, マーケティング学部, 教授 (20259344)
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研究分担者 |
加藤 めぐみ 明星大学, 一般教育, 教授 (30247168)
内海 愛子 大阪経済法科大学, アジア太平洋研究センター, 客員教授 (70203560)
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キーワード | アラフラ海 / 太平洋戦争 / 地域史 / 豪文学 |
研究概要 |
本共同研究は、1)アラフラ海周辺地域に着目し、地域史としての太平洋戦争の記憶の再構築を試みること、2)太平洋戦争が起こした生活圏からの断絶と戦後の再生の過程に注目して、住民の集団的記憶を分析すること、3)国家の周辺部あるいは植民地下にあった住民の戦争体験と記憶が、国民的体験としての戦争の記憶として、どのように包摂あるいは忘却されているかを分析すること、を目的としている。 鎌田は、日本軍によるダーウィン空襲の追悼式典が「国民の物語」を再構築する場として機能している状況を分析するとともに、太平洋戦争期の北部準州の対アボリジニ政策に関する資料収集を行った。加藤は、ブルームとダーウィンの地域作家の文学作品を収集し、日本人と太平洋戦争の描写に関する分析を行った。内海は、東部インドネシアおよび豪北での日本軍捕虜収容所に係わった戦犯に関する調査を行った。飯笹は、ダーウィンおよびシドニーの学校教育での歴史教育およびシティズンシップ教育における太平洋戦争の扱いに関する現地調査を行った。田村は、シドニー湾を攻撃した特殊潜航艇に関する日豪の博物館/歴史資料館での展示の差異に関する日豪の比較研究のため、来日調査を行った。また、豪従軍記者ダミアン・パラーのニューギニア戦の報道映像における日本兵の表象に関する分析を行った。 このように、アラフラ海というオセアニアと東南アジアを繋ぐ地域における戦争の記憶を、住民/市民の視点から再構築を試みる本研究の意義は明白である。本研究では、太平洋戦争を転機とした地域史のダイナミズムを描き出すとともに、国民的体験としての戦争の公的記憶を批判的に考察し、オーストラリア/インドネシア/日本の三国を繋ぐ太平洋戦争の記憶の分析枠組を提起することによって、「戦争の記憶」研究に新たな視座を提供すると考える。
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