本研究では、1世紀以上にわたる近代エジプト議会の展開について、おもに議会議事録を資料とし、その議会議事録と議会機能の発展に注目して考察したものである。議会議事録の分析では、初期の段階から逐語的に議事が記録されており、立憲君主制期議会の議事録はきわめて精緻に議事録の編纂が行われたことを明らかにした。議会の機能については、初期の議会は諮問機関であったものの、限定的ながら近代議会の諸機能を有しており、立憲君主制期の議会では、独立性の高い議会に発展した。さらに、時代の政治環境と議会の活動や機能との密接な関係も明らかとなった。
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