近代日本における男性性の構築には、植民地事業への参加を通じてホモソーシャルと自己犠牲的男性性が構築され、それが植民地主義の深まりとともに兵士的男性性へと展開し、ヘゲモニックな男性性の位置を占める、という図式は必ずしもみられなかった。ミソジニーが明確にみられたのはむしろ都市新中間層男性の男性性言説の方であった。この点はイギリス男性史等の先行研究の知見と異なる。このような結果が生じた背景には、「開拓」において女性が占めた役割、あるいは都市中間層の男性性言説構築をめぐる<女性>のエージェンシーと<男性>のエージェンシーとの間のポリティクスの差異が存在していると考えられる
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