今年度はフランス人研究者2人を招聘して(1人は私費で来日したが、申請者が研究報告会などの世話人をした)、主にパリ科学アカデミーの会計局長を務めた化学者ラヴワジエの妻で、彼の研究協力者であったラヴワジエ夫人について調査した。特に研究費で招聘したプロヴォ氏の協力で科学アカデミー古文書館にあるラヴワジエ夫人の草稿をかなり読破することができた。それにより、科学アカデミーとラヴワジエ夫人、さらに百科全書参加者であるデュポンとのあらたな関係が判明した。また、ノーベル賞化学者であるコーネル大学のホフマン氏が来日した折に、氏から同大学図書館にあるラヴワジエ夫人に関する貴重な資料の映像をみせてもらい、それについての充実したディスカッションを行なうことができた。これについては、来年度にこの資料のマイクロフィルムかそれと同等のコピーを手に入れて分析したいと考えている。 反対に今年度完成予定であったデータベースは、作業がかなり難航し、18世紀の欧米のほぼ全部のアカデミーに関するデータの打ち込みは終わったが、分析にまではいたらなかった。来年度はこれを分析してグラフ化する作業を完成させたい。これができれば、18世紀のアカデミーの様子が図式化され、全体の様子を把握するのが簡便になると考えられる。
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