当該年度はついに科学アカデミーに関するデータベースが完成した。これをどのように図式化するか、そしてどうすれば「女性」という要素を明確に表現できるかが最終年度の課題となる。 なお、発表が4月1日ということで、科学研究費から渡航費および滞在費を支出することはなかったが、当該年度は本研究についてベルギーの化学史協会であるmemoscienceで招待講演をおこなった。ここでは啓蒙時代に科学アカデミーの重鎮であったラヴワジエの妻であり研究協力者であったラヴワジエ夫人の活動と、科学アカデミーの関係について発表し、国際的に有意義な研究交流を行うことができた。さらにこのことで、フランスの化学史協会からも講演依頼を受けている。この時そこで知己となったやはりジェンダーと科学史の問題の専門家であるBrigtte Van Tigerren氏を招へいして、当該テーマについてレクチャーを受ける予定であったが、氏の都合により平成22年度に延期となった。さらに7月にはVan Tigerren氏と以前から共同研究しているフランスのPatrice Bret氏の主宰するブタペストの国際シンポジウムでやはりラヴワジエ夫人についての研究発表を行った。このシンポジウムの論集はいずれ、本として出版される予定。 当該年度には招聘あるいは申請者の渡航のための費用を計上していたが、以上の理由から実行できなかったので、その代わりに当該研究にかかわる欧文論文の翻訳および欧文への翻訳の仕事の代行費用に充てた。この一つは平成20年度に研究交流を行ったJean-Pierre Poirierの論文に関するものであり、これは平成22年度に発表予定である。 このように、当該年度は主に国際的な研究交流および論文作成を行った。これより、当該テーマのみならず、日本における科学史研究の重要性と外国におけるそれとの関係が注目され、それについての原稿依頼も受け、それは平成22年にフランスで印刷される予定である。
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