本研究は、啓蒙時代のヨーロッパにおける学術研究及び啓蒙機関としてのアカデミーと女性との関係を、特にフランスの状況を中心にジェンダーと科学という視点から考察するものである。これらのアカデミーに関してはすでに欧米を中心に数々の研究がなされている。しかしそこにジェンダーの視点が持ち込まれることはまれであり、啓蒙時代の科学とジェンダー研究では、むしろサロン研究の方が盛んであった。本研究は、啓蒙時代のこの状況を踏まえた上で、ヨーロッパのアカデミーの科学に関する部門において、女性たちがどのような形でそれに関わっていたのかということを具体的に示す試みである。申請者は修士論文より一貫して啓蒙時代の科学とジェンダーとの関係を研究してきた。その中でアカデミーは欠かすことのできない重要な要素であるという認識を持っている。しかしアカデミーと女性との本格的研究はなされていない状況にある。そこの研究を行うことによって、啓蒙時代の科学とジェンダーの新たな局面を明らかにするものである。
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